会長挨拶

鹿毛 政義

第19回日本肝臓学会大会
会長 鹿毛 政義
久留米大病院・病理診断科・病理部

この度、第19回日本肝臓学会大会を2015年10月8日(木)、9日(金)の2日間、JDDW 2015の一環として、東京で開催することとなりました。大変光栄であり、このような機会を与えて頂きました日本肝臓学会会員並びに関係各位の皆様に、衷心より感謝申し上げます。

今回の肝臓学会大会のテーマは「ひろびろとした肝臓学の創生」といたしました。肝臓学において領域間や医療職間の垣根を低くして、融通無碍の心持で伸びやかに肝臓学を深化させる、というコンセプトです。21世紀に入って早10有余年、医学医療は目覚ましく進歩、発展しています。肝臓病学も長足の進歩を遂げましたが、その過程で、各々の研究領域や医療の分野の多様化と細分化が進みました。その結果、自分の専門以外の分野についてキャッチアップすることが難しい状況も生まれています。医療従事者には、常にup-to-dateの幅広い知識や技術の修得が求められています。このようなニードに応えるべく、今回の肝臓学会大会では、より領域横断的で学際的な学術集会となるよう主題を選定しました。

プログラムの一部を紹介します。JDDWでは5つの学会から構成されています。消化器病学の全般にわたる最新の情報が集約され、討議が展開される学会です。今回、構成学会の話合いにより、6つの重要なテーマが選ばれ、統合プログラムが作られました。肝臓学会から提案した統合プログラムのテーマは、「進行肝細胞癌治療」と「消化器疾患における栄養管理」です。横断的な最新の研究成果の発表が期待できます。インターナショナルセッションでは「Diabetes mellitus & hepato-biliary diseases」、「Pathology of NASH」の2つの英語のワークショップを企画しました。夫々の分野の世界的リーダーである先生方の基調講演を予定しています。このワークショップでは内外の研究者からの先進的な研究発表と活発な討論が展開されることでしょう。パネルディスカッションは「肝臓をめぐる臓器相関の病態に迫る」、「混合型肝癌のコンセンサスを目指して」などを用意しました。前者は、肝臓から諸臓器の病態をダイナミックに捉える内容で、肝臓病を見る視野が広がればと思います。後者では、議論の多い混合型肝癌の診断基準の策定にアプローチできればと考えています。シンポジウムには、「小児の肝疾患 臨床・研究のup to date」、「肝再生 基礎から臨床」を取り上げます。小児肝疾患の特殊性や、成人へキャリーオーバーする疾患について理解を深めて頂きたいと考えます。肝再生のセッションでは、トランスレーショナルリサーチについて将来の展望を探ることができればと思います。ワークショップは、「B型ウイルス肝炎の研究と治療戦略の新展開」、「門脈圧亢進症 診断・治療の今後の展開」の2題を用意しました。B型ウイルス肝炎と門脈圧亢進症は、依然として臨床上重要な問題を抱えています。克服の方策について、新しい研究成果を基に議論が深まることを期待しています。

このJDDWでは、肝臓学を含めた消化器病学の最新の情報が発信されます。医療職の垣根を越え一人でも多く参加して頂き、肝臓学の理解を深めて、明日への研究や医療に役立てて頂ければ望外の喜びです。

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