この度、第53回日本消化器がん検診学会大会の会長を拝命しました。伝統ある学会の大会長を務めさせていただくことになり大変光栄に存じています。本大会は平成27年10月8日~10月11日に東京で行われるJDDW 2015に参加し、その第1日目に開催されます。JDDWが3日間開催で、4日目は教育講演会のみであるため、本会も縮小したかたちでの開催となりました。
消化器がんは早期がんのうちに診断し治療すれば長期生存(完治)することは周知であり、そのことに本学会の意義があると考えています。これまでも効率よくがんを診断する方法やシステムを構築することに力を注がれ、消化管がんの診断の道筋を作られてきました。消化管がん、肝細胞癌や胆道癌は早期癌が定義されてきましたが、膵がんは未だ定義されていません。電子スキャンが用いられるようになって35有余年を過ぎましたが、超音波検査で比較的小さな膵がんは見つかっていますが、浸潤していない膵がんの診断は未だ困難です。膵がんも膵管上皮から発生するため腫瘤を形成するがんだけではないことも判明してきました。上皮内癌や微小浸潤癌などの診断を医療連携で多く診断しているという報告がみられ、超音波とCTあるいはMRIなどを組み合わせた診断法を模索している施設も多くあります。早い時期の膵がんの臨床像が少しずつ報告されるようになってきました。パネルディスカッションで「膵がんのスクリーニングと事後管理」を取り上げました。道のりはまだ遠いように感じていますが、少しでも道筋ができればと期待しています。 肝細胞癌における肝炎ウイルスのようにH.pylori胃炎が胃がんの発生母地の有力なひとつであることも分かってきています。H.pyloriの除菌により胃がん検診の在り方も変わろうとしています。本会でもパネルディスカッションで「対策型胃がん検診のあり方」を取り上げ、今後の効率のよい胃がん検診の一助になることを期待しています。
会員の先生方におかれましては、他の消化器関連学会と合同で議論できるこの機会に日頃の研究成果をご発表いただき、積極的で前向きな議論をお願いしたいと存じます。
多数の先生方の主題ならびに一般演題へのご応募を是非よろしくお願い申し上げます。
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